オフィシャルブログ

日別アーカイブ: 2025年2月15日

第7回牧場雑学講座

皆さんこんにちは!

鷲頭牧場、更新担当の中西です。

 

本日は第7回牧場雑学講座!

今回は、歴史についてです。

 

日本における食用牛の育成は、現在の「和牛ブランド」として世界的に評価されています。しかし、その歴史を振り返ると、日本人が牛肉を食べるようになったのは比較的最近のことであり、もともとは農耕や運搬のために牛が飼育されていました。


1. 日本における牛の飼育の起源

① 古代(弥生時代~奈良時代):牛は農耕用・祭祀用

牛が日本に伝来したのは、弥生時代(紀元前300年~300年頃)とされ、主に農耕や運搬のために飼育されていました

牛の伝来

  • 朝鮮半島を経由して日本へ。
  • 弥生時代の遺跡から牛の骨が発見されており、農耕用として使われた可能性が高い。

奈良時代(8世紀)

  • 仏教の影響で、肉食が禁止される。
  • この頃の牛は「使役牛」として、農作業や荷物の運搬が中心。
  • 牛乳を飲む習慣は一部の貴族の間であったが、一般には広まらなかった。

2. 中世~江戸時代:牛肉禁止と隠れた食文化

① 中世(平安時代~戦国時代):牛肉の食文化が制限される

仏教の影響と肉食禁止令(675年)

  • 天武天皇が「殺生を避けるために肉食禁止令」を発布。
  • 以降、江戸時代までの長い間、牛肉を食べる習慣は表立って広まらなかった。

一方で密かに続いた牛肉食

  • 西日本の一部地域(近江、但馬、播磨など)では「薬食い」として牛肉を食べる風習が残る。
  • 滋賀県近江地方では、病気の治療や滋養強壮のために牛肉を食べる「養生食」として扱われていた。

② 江戸時代(1603年~1868年):隠れた牛肉文化と和牛のルーツ

江戸時代になると、各地で在来種の牛(後の和牛のルーツ)が農耕用に発展し、日本独自の牛の品種が生まれました。

江戸時代の牛の特徴

  • 「但馬牛」「近江牛」「土佐赤牛」など、各地で異なる牛の品種が発展
  • ほとんどの牛は農耕や荷役用で、食用としての認識は低かった。

「すき焼き」文化の萌芽

  • 近江(現在の滋賀県)では、僧侶や医者が牛肉を食べる習慣があった。
  • 「味噌漬け牛肉」などの調理法が考案され、後のすき焼き文化につながる

3. 明治時代~戦後:食用牛の本格的な発展

① 明治時代(1868年~1912年):食肉文化の解禁

明治政府の「肉食推奨政策」

  • 1872年、明治天皇が牛肉を食べたことが話題となり、日本国内で「肉食文化」が拡大。
  • 西洋文化の影響を受け、牛肉が「栄養価の高い食品」として注目される
  • 東京・大阪に牛鍋(すき焼き)の専門店が登場し、大衆にも広がる。

食用牛の品種改良の開始

  • 明治政府は、海外の牛(欧米のショートホーンやブラウンスイス)を導入し、在来種と交配。
  • この時期に、但馬牛や近江牛などが改良され、現代の和牛の基礎が確立

② 戦後~高度経済成長期(1945年~1970年):和牛ブランドの確立

戦後の食肉需要の増加

  • 戦後の復興とともに、食肉消費量が急増し、牛肉の生産が本格化。
  • 1950年代以降、アメリカの影響でステーキ文化が広がる

「和牛」のブランド化

  • 1960年代:但馬牛をベースにした「神戸牛」「松阪牛」などのブランド和牛が誕生。
  • 1970年代:霜降り肉(サシ)の技術が発展し、「柔らかくて甘い和牛」が高級ブランドとして確立。

4. 現代の食用牛産業と課題

① 日本の食用牛の品種

現在、日本で食用として育成される牛は、大きく分けて以下の3種類。

和牛(国産黒毛和種)

  • 「神戸牛」「松阪牛」「飛騨牛」など、最高級ブランド牛肉として扱われる。
  • 肉質が柔らかく、霜降りが豊富で甘みが強い

交雑種(和牛×乳牛)

  • 育成コストを抑えつつ、一定の品質を確保。
  • スーパーなどで流通する一般的な国産牛肉。

ホルスタイン種(乳牛)

  • 乳牛として飼育された後、一部が食用肉となる。
  • 赤身が多く、脂肪分が少ないのが特徴。

② 現代の課題

生産コストの上昇

  • 飼料の高騰や人件費の増加により、和牛の価格が高騰。
  • 海外産牛肉との価格競争が激化。

輸出市場の拡大

  • 和牛は海外での人気が高まり、特にアメリカ・中国・シンガポールなどで需要が増加
  • 高品質な和牛の安定供給が求められる。

持続可能な畜産への移行

  • 環境負荷を抑えるための「低炭素畜産」や「放牧型畜産」の導入が進む。

5. まとめ

古代~江戸時代:牛は農耕用で、食用としては限られていた。
明治時代~戦後:肉食文化が定着し、和牛の品種改良が進む。
高度経済成長期~現代:ブランド和牛が確立し、輸出市場が拡大。
今後の課題:持続可能な畜産と価格競争への対応。

日本の食用牛の育成は、長い歴史の中で進化し、「和牛ブランド」という世界に誇る食文化を築き上げました。今後も、環境問題や国際競争の中で、持続可能な形での発展が求められています。

 

鷲頭牧場では、畜産をもとにした加工や販売も行う6次産業型の牧場を運営しています!
私たちの牧場は、九州の「屋根」とも呼ばれるくじゅう連山のふもと、標高1000mの飯田高原にあります。ここで育てた安全で安心な食材を、農家レストランで直接みなさんにお届けしています。

広々とした自然いっぱいの牧場で、四季の移り変わりを楽しみながら、かわいい子牛や山羊、馬、猫たちがみなさんをお待ちしています!雄大な景色と元気いっぱいの動物たちの笑顔に、どうぞ癒されてくださいね。

お問い合わせはこちらから!

Translate